理学療法士(Physical Therapist)これを略してPTとも言います。このPTという資格は世界約105ヶ国で認知されているもので、主にアメリカ・カナダ・オーストラリア・イギリス・ドイツといったそれぞれの国々の決まりで定められており、国・地域で社会的地位や認知度・内容も異なってきます。
主に、活躍する場所として一般には病院・介護保険施設・デイサービス・クリニック・訪問リハビリといった病気や怪我で身体に障害を持った者に対して、「その人がその人らしく生きていくため」に、今持っている基本的動作能力の回復と向上を図るために、運動機能の回復を目的とし、運動療法(動きにくくなった手や足などの関節を動作を通して、関節の動きをスムーズにしたり力をタイミング良く発揮できるようにする)、電気刺激・温熱療法(遠赤外線やマイクロ波、ホットパック、寒冷といった物理的手段を用いて、痛みを和らげたり、血液の流れの改善を図る)あらやゆる手法を駆使して、その人の人生の質(quality of life:QOL)を再構築し高めていく職業になります。
最近では、ハンマー投げの室伏選手やサッカーのクリススティアーノ・ロナウド選手が試合前にコンディションを整える為に、専属のPTに身体を診てもらったなど、あらゆるジャンルのプロスポーツ選手が必要としていることからも身体に障害を持った者に対して限定されることはなく、近年では障害予防といった予防のための健康増進教室や生活習慣病の一つである糖尿病や心疾患・呼吸器疾患など、内科的治療も対象となり、また、子供の発達をサポートするプログラムなどもあり、子供から高齢者・プロスポーツ選手といった幅広いフィールドで活躍の場が期待されている。
日本でも1965年から国家資格として定められています。法律上、厚生労働大臣の免許を得て、理学療法士の名称を用いて、医師の指示のもとに「理学療法」を行うことを仕事とする人を差します。現在では、国家資格として認定されて約半世紀が経ち、2010年に日本の理学療法士の人数はアメリカを抜いて世界一になり、2012年には約10万人を超えました。そのため、有資格者の飽和は明確である。しかし、今後の日本における問題として、少子高齢化が急速に進む中で2025年には団塊の世代と言われる世代が75歳を迎え、高齢化とそれを担う人材が不足する問題が深刻化します。そこで、高齢者の介護予防や生活活動の維持と向上のための、運動療法や物理療法といった手法を駆使する我ら、理学療法士の専門的な知識・技術がさらに求められてきます。
このように、病気や怪我で障害を持った人だけでなく、新生児から高齢者・プロスポーツ選手といった年齢・職種を問わず、幅広く様々なニーズに応える専門職であると共に、時代の流れと連動するかのように、今の日本が直面している様々な問題の中でも少子高齢化問題を解決する打開策として、今の、理学療法士の在り方が考えられ、必要不可欠な存在となることは間違いありません。ただ、いつの時代になっても理学療法士とは「その人がその人らしく生きていくため」に全力を尽くす、”プロ”」だということに変わりません。