C.I.T Japan(シーアイティージャパン) セラピストのためのクリニカルイノベーションチーム
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C.I.T企画 vol.1 「湯田健二」×「北山哲也」理学療法士としての自身の想いと若手理学療法士へのエール


一般社団法人 臨床改新協会(CIT)代表である湯田健二が、山梨リハビリテーション理学療法課 課長の北山哲也先生と「理学療法士としての自身の想いと若手理学療法士へのエール」をテーマに対談しました。

Q1.先生が理学療法士を目指したきっかけを教えて下さい

(北山先生)
高校の頃、スポーツ(野球)をしていて足関節の捻挫、腰痛症などフィジカル面で苦悩していました。

母親の紹介で理学療法士の先生とお話をする機会もあり、現場で働く姿をみて自分もスポーツが好きだったので何かしらの形で関わりたかったという気持ちがありました。

(湯田)
なるほど、自身のご経験、ご家族のお勧めもあったのですね

(北山先生)
また、祖父が脳卒中で倒れて体が動かなかったこと、祖母の介護などを目の当たりにしたことでリハビリの必要性を強く感じていました。

その当時はリハビリといってもセラピストの数が全国で数千人しかいなかったので、各医療施設にセラピストが存在していることが少ない状況でした。

そういう意味では、国家資格を持つコメディカルスタッフとして、現在よりも希少価値があり、やりがいも感じておりました。

(湯田)
確かにそうでしたね。

(北山先生)
色々とお話をさせていただきましたが、本音でいうと勉強は不得意でセンター試験を受けるのも難しいくらい成績が悪かったので選択肢がそれほど無かったというのが事実です。

(湯田)
本当ですか?(笑)

(北山先生)
そうなんです(笑)。進路相談した学校の教員もカイロプラクターと勘違いしていましたし、理学療法士の学校も全国に20~30校程度だったかと思います。今、考えるといい加減ですね。

Q2.なぜボバースを中心とした視点で理学療法を展開されているのでしょうか

(北山先生)
目の前にいる対象者に真摯に向き合うこと。

対象者が見せてくれている現象を解剖学、運動学、神経生理学的をベースにして姿勢・運動分析を丁寧に行い、洗練された確かな技術を駆使して対象者を変えていくところ目の当たりにしているからだと思います。

若い頃から先輩や上司、お師匠様が対象者を変えていくところを見てきたこと、対象者の方々が身体における潜在性・可能性に気づいて、感動して涙するところなどを見たら、自分もボバースコンセプトを診療の軸にしていきたいと感じました。

(湯田)
解剖学、運動学、神経生理学的をベースにしてという考え方、我々理学療法士にとって最も重要な部分ですね。

その他はいかがでしょうか。

(北山先生)
一言でいうと「感動」ですね!我々セラピストと対象者の間で言葉を超えて生まれるものです。

昔はそういった先輩、上司が各職場にも多く存在していたような気がします。プロ意識を持って、何が何でも目の前にいる対象者を良くしたいと汗をかきながら診療に臨む人たちがいました。

(湯田)
「感動」・・・私も同感です!

(北山先生)
また、診療後には、実技練習に付き合ってくれる同僚や指導して下さる先輩たちと共に担当の対象者をイメージしながら臨床推論をしていき、その日の振り返りなども行うことができました。私たちは国家資格を所有したプロフェッショナルです。

どの業界でも練習をしないで本番に臨むことはありません。本当にそれで良いのか?ということをいつも問いかけてくれている仲間がいたので今の自分が存在します。

そういう意味では幸せな環境で仕事ができたのだと感じています。それが私の原点でもあります。

(湯田)
なるほど、よく分かりました。

Q3.どの様な想いで臨床に向われていますか

(北山先生)
対象者のニーズに応えたい!それに尽きますね。

疾患の理解は重要ですが、個別性を大切にしていくことを忘れないようにしています。個人を診ていくことは、「個人を理解すること」につながります。

セラピストとしての知識・技術を最大限に活かして、対象者の潜在性を引き出すこと。

また、対象者が自分の体に「気づき」を持ち、自己管理できるようになってもらうことが運動学習につながると考えています。

(湯田)
先生の言われる「気づき」とはどのようなものでしょうか。

(北山先生)
ただ単にセラピストが与えるのではなく、対象者が伝えてくれている情報(現象や症状など)を受け取り、共感・共有するという相互作用が大切だと感じております。

まさに、それが対象者とのコミュニケーションであり、本当の意味での優しさはそこにあると考えています。 

Q4.今後の目標(展望)を教えてください

(北山先生)
私が培ってきた臨床経験を分かりやすいい形で、若いセラピスト達に伝えていければ幸いです。

新しい知識・技術は勿論ですが臨床への取り組み方や考え方は今も昔も大きく変わりはありません。対象者と向き合うこと姿勢を伝えていきたいと考えています。

私が経験してきたことは、たいしたことではありませんが、それでも何かの役に立てる部分もあると信じています。

(湯田)
先生のお言葉から、日々臨床に真摯に向かわれていることが伝わってきます。

(北山先生)
私はこれからも臨床で生き、活かされて、逝きたいと考えています。

現在、45歳ですので、人生としてもセラピストとして働ける時間を考えてもターニングポイントは越えていますが、今が一番成長できていると感じています。

これからも海外・国内のお師匠様たちからも学び続け、臨床での工夫や発見を若いセラピストに伝え続けたいと思います。

そして、様々な専門分野の垣根を越えてお互いを尊敬しあえる仲間を増やしていきたいと思います。批判・否定ではなく、認め合うことから人の気持ちは変わっていきます。

セラピストでなければできないことが沢山あると思います。多岐に渡り活躍できる場も増えてきています。大きな志を持つ仲間と共に若いセラピストが活躍できる場を造っていきたいです!

(湯田)
批判・否定をしてしまうセラピストも存在することも事実ですよね。

そのような中、認め合い、尊敬しながら様々な専門分野の方々と(広い視野を持って)関わりを持つということは私もとても重要なことだと思います。

Q5.先生が考える理学療法士とはどのようなものでしょうか

(北山先生)
対象者の人生を支えることができるリハビリテーション専門職です。これは理学療法士だけではなく、作業療法士も言語聴覚士も同じです。

セラピストが持っている知識・技術を最大限に活かして、対象者の潜在性を引き出すこと。対象者が自分の体に「気づき」を持ち、自己管理できるように促すマネージャーです。

監督やコーチではなく、主役である対象者の気持ちまで共有・共感できるマネージャーでありたいと考えています。

(湯田)
主役は対象者の方々ですね。

(北山先生)
はい。そして専門職(プロフェッショナル)である以上、個人的には自己研鑽を積み重ねていくことが義務であると考えています。

プロ野球、プロサッカー選手が練習をしないで本番に臨むでしょうか?精一杯練習をして本番に臨みますよね。

セラピストも臨床を想定した練習が必要であると感じています。私も自己研鑽の時間を惜しまない専門職人であり続けたいです。

Q6.最後に、若手理学療法士に向けてのエールをお願いします

(北山先生)
皆さんは大きな可能性を抱いています!是非、挑戦し続けてください。どんな小さなことからでも良いのです。

日々の臨床で学び、新しい疑問や知見を振り返りながら具体的な問題解決に至るまでのプロセスを積み重ねていきましょう。

目の前にいる対象者に対して真摯・紳士であること、失敗も成功も最後に笑って振り替えられるような関係をつくれるように意識していきましょう。

沢山の失敗を振り返り、小さな成功を積み重ねていき、セラピストとしての深みを増すことができるのは今です!5年後、10年後の自分をつくっていくのは今の積み重ねです。

今、何もしないとういことは5年後も10年後も変わらないということです。何もしない後悔と挑戦して後悔(反省)するということは大きな差があります。

そこには理屈抜きの実行の有無という事実が残ります。失敗は悔やむだけではなく、成功するためには何をすれば良いかを考えさせてくれる時間を与えてくれます。そういう意味では私はしくじり人生です(笑)。

改めて、もう一度言いたいと思います。「皆さんは大きな可能性を抱いています!」

皆さんの未来と目の前にいる対象者の未来に幸あれ!


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