C.I.T Japan(シーアイティージャパン) セラピストのためのクリニカルイノベーションチーム
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終了記事2019/07/01

山本澄子先生・湯田健二先生によるセミナー終了


『立ち上がり動作のバイオメカニクスと臨床応用』

今回のセミナーは令和になり第1弾のセミナーであること、またCITが一般社団法人日本臨床改新協会を立ち上げてから第1弾のセミナーであるという、CITとして記念すべきセミナーとなりました。


セミナーの第1部は、国際医療福祉大学大学院教授の山本澄子先生より、立ち上がり動作を理解するために、バイオメカニクスの基礎である「重心」「床反力」「関節モーメント」を理解する講義から始まりました。
実際の動作解析装置による体幹と各関節の動きやそれぞれの働きを示した実験データの提示から始まり、時には参加者に疑問を投げかけ考える機会も多く作っていただき、バイオメカニクスの基礎について時間をかけて分かりやすく説明して頂けました。
立ち上がりというとまず膝の伸展筋力と思いがちですが、実際には股関節や骨盤、体幹の動きがとても重要であるということを実験データを通して提示して頂き、立ち上がるときに必ず行う体幹前傾の意味について理解を深めることが出来ました。
バイオメカニクスをどのように臨床に活かせるかのヒントになったと思います。


第2部はCIT代表の湯田健二先生より、立ち上がりの基礎バイオメカニクスを元に、その知識をどのように臨床で活用したら良いのかを解説して頂きました。
バイオメカニクスの視点から、立ち上がり動作における股関節の役割を紐解き、動作遂行に必要な股関節機能を、その構造特性から説明して頂けました。
実際の人工股関節置換術(THA)症例の動画で治療前後での変化を提示して頂けたのでクリニカルリーズニング(臨床推論)がとても深まりました。股関節は様々な局面の中で可動性・安定性・協調性が要求される関節です。
臨床を展開する上で局所と全身を相互的に捕らえることはとても重要ですが、局所の関節構造を理解していないと全身への波及を考えることは出来ません。基本的な構造特性を知り、各動作における役割が明確になることで、臨床展開が大きく変化することを体感しました。
実技提示や実技練習の時間もあり、基礎バイオメカニクスの知識を日々の臨床へ繋げるヒントを得ることが出来ました。


最後のセッションでは、講師2名によるシンポジウム形式の質疑応答がありました。参加者からは普段の臨床場面での疑問や、治療に難渋しているケースの捉え方等の質問が多くあり、場合によっては1つの質問に対し2人の考えをお答え頂く非常に有意義な時間になったと思います。

次回のCITセミナーは8月31日(土曜日)に、山本澄子先生をお招きし、『基礎から学ぶバイオメカニクスと歩行の理解』というテーマで開催されます。正常歩行を正しく理解することによって、患者さんの歩行の問題解決にもつながると考えます。皆様の参加をお待ちしております。


金誠熙


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